RSウイルスとは?子どもへの影響から治療法・予防策を解説
RSウイルスは、2歳までにほとんどの子どもが一度はかかる感染症です。そのため、子育て中のご家庭では、避けては通れない感染症といえます。しかし、最近は新型コロナウイルス感染症が話題を集める一方で、毎年冬期に流行しているRSウイルス感染症も夏頃から増加傾向にあり注意が必要です。
この記事では、RSウイルスの基本的な情報から、感染原因、症状、予防策まで詳しく解説します。RSウイルスについて理解を深め、子どもたちをウイルスから守るための知識を手に入れましょう。
目次
子どもがRSウイルス感染?病気と原因について解説
RSウイルスとはどのような病気なのでしょうか。また、感染の原因はどのようなものなのでしょうか。それぞれ詳しく解説します。
RSウイルスとは
RSウイルスは感染すると、呼吸器に症状が出るウイルスです。症状が軽い場合は、咳や鼻水、38度から39度の発熱が主な症状で、その他の風邪症状と大きな違いはありません。
しかし、1歳未満の子どもが感染した場合は重症化するリスクが高く、1歳未満の感染者の1/3が気管支炎や肺炎を引き起こすといわれており、注意が必要です。
以前は11月〜1月にかけて流行していたRSウイルス感染症ですが、近年では7月頃より感染する例も増えています。
RSウイルスに感染する原因は?
RSウイルスは、飛沫感染と接触感染によって感染します。飛沫感染は、くしゃみや咳で飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことで感染し、接触感染は、直接触れることで感染します。乳幼児や小児のいる家庭では、この2つの感染経路を防ぐのは難しく、約半数の割合で家庭内に広まるのが特徴です。
家庭内にウイルスを持ち込むのは、ウイルスに感染した小学生の児童である確率が高いといわれています。手洗いやアルコール消毒、マスクの着用などで対策しましょう。
RSウイルスに感染したときの症状は?
RSウイルスに感染したときの軽い症状は、風邪と同じような症状(発熱、鼻水、咳など)です。しかし、症状が重症化すると、気管支炎や肺炎などを引き起こします。軽い症状のときと重症化するリスクについて、それぞれ解説します。
軽い症状の場合
軽い場合は、発熱、鼻水、咳などの症状が見られますが、数日から1週間くらいで治まります。一度感染したら終わりではなく、どの年齢でも再感染は起こりますが、年長児以降では、重症化しないのが一般的です。
しかし、RSウイルスに初めて感染した1歳未満の子どもは、3分の1の確率で重症化するといわれています。そのため、症状が軽い場合でも、油断せずに様子を見守るようにしましょう。
重症化した場合
重症化した場合、気管支炎や肺炎を引き起こします。以下にあてはまる子どもは、重症化するリスクが高いため注意してください。
- 生後6ヵ月未満
- 早産・低出生体重の赤ちゃん
- 先天性心疾患
- 慢性肺疾患
- ダウン症
- 免疫不全症
上記以外でも、1歳未満の感染者のうち3分の1の割合で気管支炎や肺炎を起こすといわれています。重症化するリスクは、年齢が上がるほど低くなりますが、2歳〜4歳でも20%と高い確率です。そのため、咳などの症状が長引いたり、悪化する様子が見られたときは、注意してください。
RSウイルスの検査・治療・予防法を解説
RSウイルスに感染しているかを調べるときに行う検査方法や治療方法、感染しにくくするための予防法を解説します。
RSウイルスの検査方法
RSウイルスの診断には、迅速診断キットを用いた抗原検査を行います。鼻の奥にある鼻咽頭の粘液を使い抗原検査をするため、鼻の奥に細くて長い綿棒を入れます。大人でも痛いので、小さな子どもの場合、手が出ないように押さえる必要があるかもしれません。
RSウイルスの治療法
RSウイルスに対する特別な治療法はありません。発熱、咳、鼻水などの症状にあわせた対症療法(症状を和らげる治療)を行います。
RSウイルスの感染を予防するには
RSウイルスは「接触感染」と「飛沫感染」の2つの経路で感染します。そのため予防には、以下の4つが重要です。
- 手洗い(アルコールの手指消毒も有効)
- マスクの着用
- 子どもが使用するおもちゃなどの消毒
- 人混みを避ける
飛沫感染の予防にマスクは効果があります。しかし、2歳未満の子どもには窒息の恐れがあるため、人混みに外出するとき以外は、マスクを控えたほうが安心です。
自宅で看病するときの注意点
RSウイルスは、テーブルや手すりなどの表面でも数時間生存できます。家庭内で感染を広げないためにも、手が触れる場所は消毒をしておくと良いでしょう。
また、重症化する確率が高い病気のため、呼吸が苦しそう、顔色が悪い、食事や水分摂取が難しい場合には、早めに小児科の受診を考えましょう。
RSウイルスの治療法と予防策を理解して子どもを守ろう
RSウイルスは、乳幼児や小児に広く影響を及ぼします。とくに1歳未満の子どもは重症化するリスクが高いため、親として注意が必要な感染症です。そのため、RSウイルスがどのように感染するのか、予防するにはどうすれば良いのかを理解することが重要なポイントです。子どもや家族を感染症から守るため、できることから始めてみましょう。